相続贈与まるわかりガイド|丸三証券

だれにでもいつかは訪れる相続。
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土地・建物の評価方法

1.宅地の評価

宅地の評価方法には、「路線価方式」「倍率方式」の2つがあります。路線価方式とは、市街地の宅地を、接する道路の路線価に基づき評価します。一方、倍率方式は、路線価の定めのない場所(郊外や農村部など)で、固定資産税評価額に対して国税局長の定める倍率を乗じて評価します。
路線価は自身でもインターネットから確認することができます。路線価は1㎡当たりの千円単位の価額で、原則として毎年7月1日に国税庁(国税局長)からその年の1月1日時点での評価が公表されます。国税庁のホームページなどでも確認できます。
国税庁:「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(https://www.rosenka.nta.go.jp/
宅地は、自用地、借地権、貸宅地、貸家建付地に分類して評価します。自宅の敷地や空き地などの自用地は次のように評価します。

A1つの道路に接する宅地

1つの道路に接する宅地の相続税評価は、次のように計算します。

宅地の評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積(宅地面積)

※奥行価格補正率とは、宅地の奥行の利用価値を補正するための割合です。

B2つ以上の道路に面している宅地(角地)

2つ以上の道路に面している角地は、1つの道路だけに接している場合と比べて評価が高くなります。この場合、それぞれの路線価に奥行補正率を乗じ、高い方を正面路線価とし、低い方を側方路線価とし、次の通り計算します。

正面路線価 × 奥行価格補正率…① 側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率…② (① + ②) × 地積(宅地面積) = 宅地(角地)の評価額

C正面と裏面の二方に道路が面している宅地

正面と裏面の二方に道路が面している宅地(道路と道路に挟まれている宅地)は、一方の道路にしか接していない宅地と比べて高く評価されます。評価額の算出は、正面路線価に裏面路線価の利用価値部分を加算します。二方の道路をどちらが正面でどちらが裏面かは、角地の評価と同じ考え方で、評価の高い道路を正面とします。公式は次の通りです。

正面と裏面の二方に道路が面している宅地の評価
(正面路線価 × 奥行価格補正率)…① (裏面路線価 × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率)…② (① + ②) × 地積(宅地面積) = 正面と裏面に道路がある宅地の評価額

2.自用地(自宅の土地)以外の宅地の評価

1借地権(普通借地権)の評価額:

借地権は、建物の保有を目的として他人の土地を借りる権利のこと。

借地権の評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合

2貸宅地の評価額:

貸宅地(=底地)は、借地権が設定された宅地のこと。

貸宅地の評価額 = 自用地評価額 × (1 − 借地権割合

3貸家建付地の評価額:

貸家建付地とは、所有者が土地の上に貸家を建て、賃貸している場合の宅地のこと。

貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

ここで注意が必要なのは、無償等により宅地を使用させている場合(使用貸借という)は、賃貸借と違って土地を借りている者に土地の権利がありません。土地と貸家の所有者が違い、貸家の所有者が使用貸借によってその敷地を借りているような場合、その土地は自用地として評価します。

3.建物の評価

建物の評価は、原則として固定資産税評価額を基準として評価します。ただし、宅地同様に建物の利用の方法により、評価額が変わる場合があります。

1自用家屋(自宅の家屋)の評価額:

建物の構造上、家屋と一体となる設備がある場合、家屋の評価額に含めて評価額を算出します。

自用家屋の評価額 = 固定資産税評価額

2貸家(貸付用建物)の評価額:

貸家の評価額を求めるには、一定の評価減が考慮されます。これは、利用制限があるためです。借家権割合は全国一律30%です。また、建物の一部に貸し付けられていない部分がある場合、賃貸割合を乗じて計算します。

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

3建築中の建物の評価額:

建築中の建物の評価額は、費用現価(被相続人の死亡までにかかった費用を死亡時の価額に再計算したもの)に70%を乗じて求めます。

建築中の建物の評価額 = 費用現価 × 70%

4借家権の評価額:

借家権の設定や移転の対価となる権利金等の取引慣行のない地域については、借家権の評価額はなし(ゼロ)となります。

借家権の評価額 = 自用建物評価額 × 借家権割合 × 賃借割合

土地の評価方法

路線価方式での自用地(自宅の土地)の計算

路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位)のことであり路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。

土地の評価方法 土地の評価方法

A1つの道路に接する宅地

1つの道路に接する宅地 1つの道路に接する宅地
自用地の価額

150,000円(150 × 千円)(路線価) × 1.00 × 600.0㎡ = 9,000万円(奥行価格補正率)(地積)

自用地の価額

B2つ以上の道路に面している宅地(角地)

2つ以上の道路に面している宅地(角地) 2つ以上の道路に面している宅地(角地)
自用地の価額

300,000円(300 × 千円)(正面路線価) × 1.00 = 30万円(奥行価格補正率)

(200,000円(200 × (側方路線価)※1 千円)× 1.00 × 0.08) = 16,000円(奥行価格補正率)※2 (側方路線影響加算率)※3
(1m2あたりの価額)

(① + ②)316,000円 × (地積)600.0㎡ = 1億8,960万円

自用地の価額

C正面と裏面の二方に道路が面している宅地

正面と裏面の二方に道路が面している宅地 正面と裏面の二方に道路が面している宅地
自用地の価額

300,000円(300 × 千円)(正面路線価) × 1.00 = 30万円(奥行価格補正率)※2

200,000円(200 × 千円)(側方路線価)※1 × 1.00 × 0.05 = 1万円(奥行価格補正率)※2 (二方路線影響加算率)※4

(① + ②)310,000円 × (地積)800.0㎡ = 2億4,800万円(1㎡あたりの価額)

自用地の価額
  • ※1 複数の道路と接している宅地の評価は、奥行価格補正率を乗じた後の高い方を正面路線価、低い方を側線路線価とします。
  • ※2 奥行価格補正率とは、宅地の奥行の利用価値を補正するための割合です。
  • ※3 側方路線影響加算は、宅地が正面と側方とで路線に接している場合に評価額が加算されることをいいます。
  • ※4 二方路線影響加算は、宅地が正面と裏面とで路線に接している場合に評価額が加算されることをいいます。
  • 用語の説明や計算例等は国税庁のHPからも確認できます。https://www.rosenka.nta.go.jp/

[ 小規模宅地等の特例 ]

相続により取得した財産が、被相続人等の居住用、事業用、不動産貸付用に供されていた場合、一定の面積(限度面積)について相続税の課税価格の計算上、一定割合を減額できる特例があり、これを「小規模宅地等の特例」と呼びます。

小規模宅地等の特例 小規模宅地等の特例

前提として、相続開始前3年以内に被相続人から宅地等の贈与を受けた場合は、その宅地も相続財産として計上されますが、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

また、よく利用される「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の特例を受けるためには以下のいずれかに該当する必要があります。

被相続人が住んでいた宅地等を…

  • 1配偶者が取得した場合
  • 2同居していた親族が取得する場合
  • 3持ち家をもっていない親族が取得する場合
  • 4生計を一にする親族が取得する場合

家のイラスト

二世帯住宅の対象

区分所有登記されていない建物であれば外階段のみで行き来する完全分離型住宅でも同居とみなす

家のイラスト

親が老人ホームに入った場合についての要件

「要介護」で老人ホームに入った場合は、自宅は居住用財産とみなす

※老人ホームの入所時は要介護認定の必要なし。相続開始直前に要介護認定を受けていればよい。

また、適用を受けるには相続開始の翌日から10カ月以内に相続税の申告が必要です。

配偶者居住権

配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者居住権を取得することにより、配偶者は終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができます。被相続人が遺言等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることも可能です。

配偶者居住権 配偶者居住権
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